一般社団法人日本産業技術教育学会 代表理事（会長）　村松浩幸

　一般社団法人日本産業技術教育学会は，高等学校情報科に関わる大学入学共通テストおよび指導体制の充実について，本学会の意見として以下のように表明いたします。

一般社団法人日本産業技術教育学会
会長　村松　浩幸　　　　　　　　

「高等学校情報科に関わる大学入学共通テストおよび指導体制の充実」に対する意見

1．大学入学共通テスト「情報」について
　令和7年度大学入学共通テスト試作問題「情報Ⅰ」および試作問題「旧情報（仮）」が2022年11月9日に大学入試センターより公表されまし た。試作問題は，学習指導要領を踏まえ，情報と社会の結びつきも意識した適切な内容であると考えます。こうした試作問題を受け，多くの大学が大学入学共通テストで「情報」を積極的に課すこと，さらには大学入試における「情報」の適切な配点を強く求めます。

2．高等学校情報科担当教員の配置状況及び指導体制の充実について
　文部科学省は，2022年11月8日に「高等学校情報科担当教員の配置状況及び指導体制の充実に向けて」を公表しました。この資料では，高等学校情報科（以下，情報科）の免許外教科担任等の解消の見通しとともに，指導者の継続的養成，外部人材の活用体制の充実を図ることが示されています。本学会も文部科学省の高等学校「情報」実践事例集作成に協力をしています。今後も情報科の指導体制の充実が進むことを期待するともに，本学会もその推進について応援・協力したいと考えています。

3．初等中等教育段階を通じた指導体制の改善及び教師の指導力向上について
　上記資料の公表とともに，2022年11月15日に文部科学省から，各都道府県教育委員会教育長等宛に，「高等学校情報科に係る指導体制の一層の充実について（通知）」が発出されました。この通知では，情報科の指導体制の抜本的強化を求めるとともに，情報科において顕在化した指導体制の 課題と類似の問題が中学校技術・家庭科技術分野（以下，技術科）でも生じていることも指摘され，初等中等教育段階を通じた指導体制の改善及び教師の指導力向上を加速させていく必要があることを通知しています。今後，中学校等についても，今回の高等学校における対応を参考としつつ，詳細な実態調査を実施し，改善方策を講じることの予告もなされています。
　情報科の免許外教科担任同様に，技術科の免許外教科担任も大きな問題です。各教育委員会における情報科の指導体制強化に合わせ，技術科の免許外教科担任解消やその指導体制の強化が進むことを期待するとともに，本学会もその推進について応援・協力したいと考えています。また，技術科の教職課程認定を受けている大学においては，同課程の維持・強化を進めていただくことを強く求めます。