一般社団法人 日本産業技術教育学会
代表理事(会長)挨拶
一般社団法人日本産業技術教育学会 代表理事(会長)の就任にあたって
一般社団法人 日本産業技術教育学会の社員総会(2023年8月19日)の役員改選により,会長に就任いたしました山本利一です。本学会の適切な運営を任されたことの責任の重さを感じると共に,本学会がこれまで以上に我が国の技術教育の研究および実践の発展に寄与できるよう進めてまいります。
先の見えないVUCAの時代,学会もその変化に対応できるよう改革が求められています。
例えば,急速に進む人口減少と高齢化の問題とともに,教育行政の方針により,教員養成系大学の規模縮小などから,正会員Aの減少等が表出しています。これは本学会のみならず,他の多くの教育系学会や組織が同様に抱える問題です。こうした課題に対処していくためには,直近の運営のみならず,先を見据えた取り組みが必要です。次世代を担う子ども達や青少年の成長・発達および我が国の将来にとって必要不可欠な要素である技術教育を発展させていくためにも,これまで以上に学会員・役員の皆様のご協力・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
会長就任にあたり,本学会の運営方針を述べさせていただきます。
まず,学会組織の維持・発展のために,会員のニーズに応じた事業を展開し,学会員の拡大を目指します。現在の会員の割合は,大学関係者:学校現場の先生方の割合が1:1に近づいてきています。これらのことを受け,教科専門的なアカデミックな研究と教育実践に関する研究を,車の両輪と見なし,前進していきたいと思います。ここでは,それぞれの観点や価値観を尊重しながら,理論と実践の往還を進めるために,学会員の協議の場を設定していく予定です。例えば,技術教育アイディアソンにおいて,1つの目標を達成するための手段を研究者と実践者が協議し,それらを各立場で研究・実践を進め,それらの成果を学会全国大会や国際会議など発表・提言し,社会に新しい技術教育の在り方を示していきたいと考えています。
次に,持続可能な学会運営のために,業務内容の精選・効率化を進めていきます。各種委員会活動を見直し,一旦,幕を引き,再スタートすることや,一部委員会については,学会業務として特任理事を配置するなど,効率の良い効果的な学会運営組織を構築いたします。その中でも,編集委員会の業務の改善・効率化は,今期の大きな目標であり,現在,web投稿・査読システムの導入の準備を進めています。査読期間の短縮,ヒューマンエラーの防止,作業の効率化などにつながりますので,早急な実現を目指します。
これらの活動に加え,技術教育の広報活動に力をいれていきます。具体的には,新たな技術教育に関する授業実践動画や教材などを各種メディアを活用して配信していきます。これらは,技術教育に携わる皆様の羅針盤として,新しい技術教育推進の方向性や目標の参考になればと思っています。
また,全ての人々に技術教育の必要性を理解していただくために「技術教育の理解のためのリーフレット」などを作成し,技術教育の大切さ,素晴らしさをご理解頂けるよう,情報発信いたします。これらは,継続的な取り組みが必要だと認識しています。
最後に,各種学会活動の基盤は,収支のバランスが取れた,健全な学会運営が不可欠です。オンライン会議の実施,支部の統合,長年続けてきた「エネルギー利用」技術作品コンテストのクローズなどを通した支出の削減,委託事業への応募や賛助会員の増加などの収入増など,経済的に安定した基盤作りを進めていきます。さらに,持続可能な学会活動をおこなうために,これまでの活動も常に見直しながら,新たに必要となる事業を取り入れた学会運営ができればと思っています。
以上の運営方針に従って,会員の皆様からのご支援は元より,学会員以外の皆様からも幅広いご支援を戴き,本学会が我が国における就学前・初等・中等・高等・社会人教育を包括した,産業技術教育関連の発展に貢献できるよう,尽力していきたいと考えております。素晴らしい学会を築いていくために,皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。