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挨 拶


日本産業技術教育学会会長 橋本孝之(大阪教育大学)


 今山前会長が、「会長あいさつ」(本学会誌45巻3号)において、今後の学会の活動方針を具体的に表明されました。それは「学会の活性化」と「社会的支持基盤の構築」でした。今期もこの方針を継続して、更なる深化を図りたいと考えております。とりわけ、今期は、(1)他学会・協会等との連携の強化、(2)学会のプレゼンスの向上を重点項目として掲げ、その達成に向けて努力して行きたいと考えております。


他学会・協会等との連携の強化(「人材育成」と「文教政策」への協働を核として)

 産業界において深刻な課題である人材育成について技術科教育が極めて重要な役割を果たすこと、そのための文教政策への協働が必須であることを、他学会・協会および産業界に今まで以上に理解して頂くこと、これを今期の最重要課題と位置づけます。

 日本の近代史を振り返ると、「技術」は日本の社会を発展させる大きな原動力でもあり、時によっては危機を乗り越える重要な支えにもなってきたといえます。しかしながら、昨今は、若者たちの理工系離れ、ひいては技術軽視の傾向が強まり、日本の「技術(ものづくり)」の根底を揺るがす憂うべき状況にあるといえます。このことは、たとえば第3期科学技術基本計画で「モノ」より「人」をより重視する方向性(人材育成)が強調されていることからも伺えます。

 産業界および政府(総合科学技術会議、経済産業省、文部科学省など)は、技術者の確保が極めて困難になってきている現状を踏まえ、数年前まで理学や工学研究科の大学院教育を重視していました。その後、学部教育にも対象を広げ、今では工業高等専門学校における教育までをも重視し始めています。しかしながら、このアプローチには大きな抜け落ちがあると考えています。すなわち、中学校での技術科教育は、正に、若者たちの理工系離れ、ひいては技術軽視の傾向に歯止めをかける唯一の教科だと考えているからです。

 この理工系離れの原因を、「技術科教育」に携わってきた者の1人として考えた場合、幼少期からの「ものづくり」体験の希薄化が一因であると考えております。この四半世紀の間に、我々の生活は技術の恩恵を受けて非常に豊かになりました。一方、子どもたちの遊びに目を向けると、遊び道具は作ったり工夫したりするものから,テレビゲームのように購入するものに変わりました。こどもの遊びに「ものづくり」の要素が多くあった時代では、遊びの中で鍛えられた「ものづくり」の原体験があったからこそ,学校で学んだ原理や法則などの知識も生活に結びついた知識として吸収できたものでした。また、受験競争の低年齢化が進み,こどもが「なぜ」とか「おもしろい」とか感じる暇もなく、ただ、ハウ・ツー本(マニュアル本)や教科書に書かれたことをそのまま知識として詰め込み、その知識のみに基づいて物事の判断をしているようにみえます。一見、最短距離でゴールに到達すべく効率よく生きているかのようにみえますが、これでは発展も飛躍もなく、その原動力となる「楽しさ」は皆無であると言えます。

 「ものづくり」体験の希薄化が避けて通れない時勢であるからこそ、義務教育段階での唯一の「ものづくり」を中心とした教科である技術科の意義は多大と考えます。「ものづくり」を通した実体験がなければ「どうして」と感じることもなく、「すごい」、「やりたい」という感覚に火を付けることもなく、「どのようにすれば」と考える機会もなくなります。幼少期からの「ものづくり」体験を経るからこそ、専門的知識を学ぶ高等教育段階における教育も可能になると考えるからです。

日本機械学会第85期会長の齋藤忍氏も、「理工系離れを食い止める一番効果的な方法は教育の現場において「ものづくり」の楽しさ、重要性を経験してもらうことに尽きるでしょう。」と述べておられます(日経産業新聞:2007/10/25、13面)。

今年3月の学校教育法の改正(平成20年4月1日施行)においては、日本工学会、電気学会、日本機械学会との連名で、小・中・高校それぞれの「教育の目標」の中に「技術の基礎を理解し、適切に評価・活用する能力を養うこと」の明記を文部科学大臣に要望致しました。このような文教政策への要望活動を他学会・協会などと共同で、今後とも継続的に推し進めると共に、その理解者の拡大を図ることも重要な活動目標と致します。


学会のプレゼンスの向上

 社会的に認知された学会となるためには、その活動以上に、「質」の確保が重要です。「質」が高いか否かの対象として真っ先に挙げられるのは学会誌でしょう。学会誌については、大学レベルでの研究は自明のことながら、学会設置の趣旨からして学校教育現場における実践的・事例的研究を含むことも「質」につながると判断しています。そこで、学会誌の内容構成に再検討を加えます。さらに、研究レベルでの質的向上を図るために、学会の総力を挙げて、学会または各種委員会からの科学研究費への申請を活発化します。これにより、学校教育に携わっておられる先生方も含めた会員相互のコラボレーションを通した研究レベルの向上が期待できると考えています。

 また、国際化も極めて大切なファクターです。環太平洋技術教育国際会議を提唱し、主体団体として各国で開催してきた実績を有する本学会として、国際関係委員会を中心に、これまで以上に多数の外国籍の方の入会に積極的に取り組んで行きたいと考えています。

 この他、本学会と産業界とが連携して、技術者の出前講義等の仲立ちを組織化するなどの社会貢献も出来ればと思っております。


 以上のような諸課題に対して、学会員の皆様が積極的に協働することで、本学会の役割、責務を果たすことができると考えます。両副会長を始め、役員の皆様のご協力の下、微力ではありますが、技術教育と本学会の発展に全力を尽くす所存です。会員の皆様のご支援を心からお願い申し上げます。

 

日本産業技術教育学会 

学会紹介


学会目的

 本会は技術教育に関する研究を行い,その振興普及及び会員相互の連絡を図り,もって技術教育の発展に寄与することを目的とします。



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